2008年10月29日

第二章:07

 アメリカのテレビ界ではダンラザーが去ったことがトピックスとして知られるが、日本ではどうなのだろうか。
 日本のテレビを見る限り、いまもカテドラルの発信者が、カテドラルに集まった聴衆に一方的に情報を発信する状況は変わっていないように思える。たしかに、説教の中には、インターネットや2ちゃんねるで得た情報も入っている。しかし、基本的にテレビの中の強権者たちの権力が脅かされているという感じはまったくない。
 たが、バザールでの噂話がカテドラルの主たちの耳にも入る。その結果、カテドラルの発信者たちが言説を変えるようなことが起きている。

 たとえば、2007年の日本テレビの24時間テレビの萩本欽一氏のマラソンがそうだ。
 前年のマラソン走者はアンガールズだった。長身痩身なふたりが走る姿が痛々しかったのを憶えているが、その中継時に問題は起きた。
 アンガールズに触ろうとした熟年女性に対して、テレビ局のスタッフである伴走者が、「触るな。ボケ」と恫喝したのだ。そのシーンは武道館にも中継されていたから、メイン司会の徳光和夫氏は、「アンガールズに触りたい気持ちも分かりますが、触ると転倒の危険もありますから、触らないでください」と、フォローした。
 徳光氏の必死のフォローにも関わらず、批判のためのスレッドが2ちゃんねるに林立し、その問題の中継映像は、YouTubeにアップロードされた。日本テレビは著作権侵害を根拠に、YouTubeに削除以来を度々かけたが、削除されるたびに新たに誰かが映像をアップロードするというイタチごっこが続き、イベントから数日が経った頃でも、その画像をみることができたと記憶する。
 私はテレビ局の関係者ではないから、翌年のランナーを決めるについて、どういう会議がなされたのかを知らない。
 しかし、昨年のアンガールに対して「触るな」と恫喝することで批判を受けた次の年の演出として、萩本氏が老体に鞭打ちながらも、ハイタッチを執拗にし続けた理由は分かりすぎる程、分かるのだ。
 勿論、そのような演出と行動が、番組スタッフの演出によってなされたのか、萩本氏の意志によってなされたのかは分からない。しかし、24時間テレビが本来のチャリティーの精神を逸脱して、スポーツイベント化しつつあることの危惧を番組関係者の多くが反省していたことは確かだろう。
 私は、テレビ局のような官僚的な集団運営システムの自己修正機能によってなされたのではなく、2ちゃんねるとYouTubeをリファレンスとして行なわれたのだと理解してやまない。

 とはいえ、2007年のインターネットは、対話型を実現しているかといえば、そんなことはない。
 2ちゃんねるでの議論に放送局が加わるはずもないし、YouTubeの対応は削除依頼のみ。カテドラルの主は、そのガードを厳しくするのみだ。
posted by スポンタ中村 at 18:54| 東京 ☁| Comment(0) | 第二章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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